火曜日, 07.09.2010


花言葉/古井戸 PDF 印刷
渡良瀬物語 - 渡良瀬物語

どんな芝居だったか覚えていない。

地方都市の小さな劇団が年に二回行う公演の千秋楽、秋の夜、

打ち上げの宴席は連日続いていた不安と緊張の舞台から解放されにぎやかだった。

確か雨が少し降っていたその夜、樸が店の出口で貴女に渡した花束は、舞台を飾った色彩だ。

花の名前は知らない、

ましてやそのメッセージなんて...。

ただ、綺麗な貴女にふさわしい綺麗な花を、なんてね。

妙に紫色があざやかな花の想いを誰が知る。

帰り際、傘を差し出した樸に「相合い傘なんて久しぶり」とは。

 

これはまだ終わらない芝居の続きですか?

雨の滴と夜の闇に薄くなった水墨画のような公演の記憶。